去年ルノアールで

「通常のオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人」
「ノマドワーカー」という言葉をすっかり聞かなくなった昨今。
言葉は死んでも、喫茶店に行くとそういう人たちはたくさんいるわけで。
ックに行ってもいるし、ベローチェにいってもいるし、ロイヤルホストに行ってもいる。
「家にいるとやる気がでないから外でやる」ということを隠した感じ。
たぶん「私、ノマドワーカーなんで」っていうのがカッコよく聞こえないから
名乗らなくなっただけなんだと思う。

そんな今日も家にいてもやる気が起きないから外で仕事をする。
ルノアール。
柔らかい椅子。そこそこ値段のするメニュー。通常メニューと比べると激安のモーニング。
無料サービスのお茶。当たり外れの大きいおしぼり。気軽につなげる高速Wi-Fi。
あと、大抵空席がある(池袋のルノアールは大概混んでるけど)

2006年に書籍化された、せきしろさんの「去年ルノアールで」を読んだ頃はまだ20代前。
ハタチそこそこではじめてのルノアールを体験し
200円台でコーヒーが飲める時代に500円台のコーヒーを頼み
本でみるようなヤバイ人たちも散見される中過ごしたあの頃。

時はながれて所によって差はあるものの、まだまだ色々な人達がやってきている。
何かのシステムの勧誘をしている人がいたり
「あなたにとって美とはなんですか?」と対面している女性に尋ねる人がいたり
不釣り合いな年齢の男女がお金の貸し借りの話をしていたり

そういう人たちも含めてのルノアールなんだなと毎回納得しながら
今日もまたルノアールの輪の中に飲み込まれていく